最初の施術で、首の骨のずれを確実に言い当てられ、すべてそこから起因していることがわかった。レントゲンで見えないものが見える不思議さに疑心暗鬼であったが、手が当たるごとに広がる心地よさや安堵の感覚は今だに忘れがたいものであった。
　すっかり、その技術のすばらしさに魅了された私は自ら初級整体師の門をたたき、１年間の学習に励んだ。様々な治療技術をただ単に学ぶだけではなく、身体の構造や症状の現れ方、骨や神経への治療をどのようにするのか、毎月毎に違ったテーマを学んだ。
　故 金光先生はよく、「痛い、怖い、直らない」そんな整体とは違うんですよ、とよくおっしゃられ、いかにこの東洋整体の技術が優れたものであるかを雄弁に語られた。それを聞き、頭がよいだけでなく、ユーモアやこの東洋整体やそこにかかわる人への愛情にあふれた方だと感じたのは私だけではないであろう。

　代替医療の研究を通じて、東洋医研に調査の協力をお願いすることもあったが、いつも快く協力していただいた。他の整体院で断られたこともあったが、その違いは自信の在り様なのではないだろうか。世界に出しても恥ずかしくない技術、思い、経験がここにはあり、それが現院長の金光先生や師範の先生、整体師の方々に伝承されている。
　２～３年前から、私は股関節の違和感を感じていたが、2023年に痛みが顕著になり、広島院の平野先生に治療を受けた。「股関節の痛みがでてきたら大変だから、詰めて来てください。」と言われたものの、治まるかどうか不安であった、しかし、１か月後には不思議なほど痛みがとれて動きもよくなった。まさに、奇跡なのである。いつもこんな感じで、痛みや身体の苦痛を難なくとってくれる。おかげで、毎日の過酷な仕事だけでなく、家事や育児も並行してやってこれたのである。
このように、痛みや苦痛はその人のQOL（Quality of Life：生活の質）を低下させる。この整体は身体を癒し、人の“生きる”を支援する技術だと私は想っている。そのおかげで、大病もせず、精神を病むことなく、30年来の大学教員の仕事を無事終えることができそうである。ここに、心からの感謝と敬意を捧げたい。